競合同士の協業が話題です
昨年から続くコロナ禍の中で、ふわっとした年越しも終わり仕事始めで休みの雰囲気もすっかりなくなったという人が多いと思います。仕事が始まっても、これから先のことが不透明すぎて、不安が多いままの新年スタートとなった企業様も多くあると思います。
そんな中で、気になるニュースがあったのでピックアップさせていただこうと思います。
そのニュースは企業と企業の「協業」についてでした。企業同士のタッグやコラボ自体はコロナ禍になる前から多くあったので、そんなに変わったことではないと感じる人もいると思いますが、話題になっていたのは以前あまり見られなかった「ライバル企業」同士の協業。
いったいどことどこが協業して話題になっているのかと、目を通してみるとなんとトイレタリーで最大手の会社「花王」と、オーラルケア用品といったら誰でも耳にしたことがある会社「ライオン」の協業でした。最大手同士であり、しかも消費財という分野では競合している花王とライオンが手を組んでいるということで、どんな事業なのかを読み進めてみると、なんと驚くことにリサイクル事業なんだそうです。実際に、店舗でも協業によって設置したリサイクルパックが置かれていることがあるそうで、昨年9月には共同で水平リサイクルできる詰め替えパックを一緒に研究すると発表していたそうです。
そもそも、ここであまり耳慣れない言葉が出てきます。そう「水平リサイクル」です。リサイクルするのに水平にする?と言葉だけではなんだか意味が分からないのですが、調べてみたらわかりました。
実はリサイクルには水平リサイクルと、カスケードリサイクルというものが存在するそうです。その中でもよく聞くアルミ缶や段ボールのリサイクルは元のものから元のものへと変わるので、同じ価値のものになることから水平リサイクルと呼ばれるそうです。
カスケードリサイクルはカスケードが人工的に作ったものを指すように、使ったものを別の商品やさらに質の低い商品へとリサイクルすることです。例えば上質紙をリサイクルして質の低いわら半紙にする、ペットボトルをリサイクルして服を作るなどがカスケードリサイクルに当たるようです。
ここまでの説明で気が付いた人もいるかもしれませんが、例えばシャンプーなどの詰め替え容器は、リサイクルにコストがかかるうえにどうしても同じものに変えにくいので、カスケードリサイクルをされがちです。そんな中で、花王とライオンがタッグを組んで詰め替え容器の水平リサイクルにチャレンジするということで、現状詰め替え容器によって減り続けてきたプラスチックの使用量をさらに減らすことが期待できるそうです。
ただ、詰め替え容器に使っている素材は、コンパクトな上に丈夫で保存性を高めるために、複数の素材で出来ているので、水平リサイクルをすることは想像以上に大変なようです。そもそもリサイクルは素材ごとに分かれていないといけませんので、複合素材で作られている詰め替え容器はもともとリサイクルには向かない作りになっているものをリサイクルするのは、コストや研究の時間などを考えるだけでも莫大な労力が必要になります。
ですから、こういった環境問題に対して一社だけではなかなかできないからと、競合他社とタッグを組んでチャレンジするというのは、大手になればなるほど最初の一歩を踏み出すのが本当に大変なことなのではないでしょうか。ですが、それでも真摯に向き合っていく姿勢は、消費者の1人としてもしっかり見習っていきたいと感じました。
会社というのは1人でやれることには限界があります。そういったものを感じた時は、ぜひ志賀暎功税理士事務所もできる部分からサポートさせていただきますので、ぜひご相談ください。